訪日外国人が急増!地方創生・日本経済成長の起爆剤に!

ここ数年の訪日外国人(インバウンド)の増加は著しい。2013年に初めて1,000万人を突破した訪日外国人の数は、2015年には約2,000万人に達した。インバウンド・ツーリズムの振興は、日本経済成長の起爆剤としても期待され、国の成長戦略の柱として位置づけられている。訪日外国人の誘致に取り組む日本政府観光局(以下、JNTO)の伊藤亮シニア・アシスタント・マネージャーにお話をうかがった。

近年のインバウンド市場について

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日本政府観光局(JNTO)インバウンド戦略部 誘致戦略グループ シニア・アシスタント・マネージャー 伊藤 亮氏

―近年のインバウンドの傾向についてお聞かせください。

2010年の訪日外国人数は861.1万人、消費額は1.1兆円でしたが、2015年には1973.7万人、消費額3.4兆円と著しい伸びを見せています。インバンド増加の要因として、

アジア諸国での中間層の増加、円安、ビザ要件の大幅緩和、官民一体となった訪日プロモーションの強化などが考えられます。

―インバウンド市場の変化についてお聞かせください。

2015年は、インバウンド市場にとって転機となる年でした。というのも、53年ぶりに外国人の日本での消費額が、日本人の外国での消費額を上回り、黒字になったからです。

近年、インバウンド消費の傾向にも変化がみられています。物の消費に加えて、美容院やエステ、ネイルなどサービスへの消費も増えてきました。美容関係は、特にアジアからの外国人に人気で、「日本の最先端のファッションを楽しみたい」という需要があります。文化面では、例えば、京都で伝統芸能を体験して日本の精神性を学ぶといったツアーも人気です。こうした体験をしていただくことは、物の消費以上に訪日の深い動機付けとなり、リピーター獲得にもつながります。

―受入れ側の意識も変わってきていますか。

ここ数年、確実にインバウンド受入れの熱意が高まっていると実感しています。銀座などの人気スポットで「Japan. Tax-free shop」の看板を目にすることが増えてきました。多言語の看板なども急増していますし、特に中国語ができる従業員を配置する店舗が増えています。

JNTOが取り組む日本の情報発信

―JNTOの訪日プロモーションの取組みについてお聞かせください。

海外の旅行会社を招き、日本の地方都市に案内するとともに、商談会を通して日本の自治体、観光関連民間事業者と海外の旅行会社をマッチングさせるツアーの造成支援、各国のメディアやブロガーを日本に招き、SNSで情報発信してもらうといった取組みをしています。

また、JNTOは世界14都市に事務所がありますので、現地でメディアを使った広告宣伝を行ったり、旅行博覧会等に出展し、日本観光の情報発信を行ったりしています。

―地方創生がいわれていますが、手ごたえとしてはいかがでしょうか。

地方都市では、大阪、京都が不動の人気です。北海道も特にアジア圏からの旅行者に大変な人気です。自然、雪、海産物が魅力ですね。それでも、まだまだ地方都市の魅力が伝わっているとはいえず、情報発信を行っていく必要があります。

JNTOでも旅行者の地方分散に力を入れています。28年度は、東北への誘客に注力していきます。東北エリアの2015年の外国人延べ宿泊者数は約50万人泊と東日本大震災前の水準に戻りましたが、他の地方の伸びに比べるとインバウンドの果実を十分に味わえているとはいえません。東北に関しては、魅力を十分に伝えられていないことが一番の課題です。震災後の安全情報を流す段階から一歩進み、四季明瞭な自然、原風景、秘湯、夏祭り等の郷土文化、食など東北ならではの魅力を発信していきたいと思います。

観光促進というと、県ごとにプロモーションをしがちですが、外国人は県単位では考えません。どのように点と点を結び、その間に広がる地域まで一体の面としてプロモーションしていくかを考える必要があります。2016年3月26日に、北海道新幹線が開業しました。東京や北海道に来た旅行者に、東北にも寄ってもらえるような動線をつくっていきたいと思います。

―外国人に快適な旅行をしてもらうための課題は何でしょうか。

一番多く聞かれる旅行者の不満が言語の障壁です。これについては、駅名の外国語表記・数字表記化など対策が進んでいます。

「物価が高い」という声も聞きますが、これはバブル時代のイメージが残っているということもあります。外国人が安く地方を回れるような周遊パスの充実化を図っていきたいと思います。Wi-Fi環境については、地方都市でも設備投資をしていく必要があります。

―地方都市の外国人受入れの姿勢はいかがでしょうか。

やはり都市部に比べて環境が整備されていないのが現状ですが、地方運輸局が音頭を取って、エリアごとに外国人旅行者の受入れの課題の検討会を開催し、人気スポットでのバスの駐車スペースを増やすなど、具体的な改善案が出されています。

個人旅行者はOTA(オンライン・トラベル・エージェント)で予約をすることも多いのですが、OTAに登録していない施設も多いのが現状です。いくら地方の魅力を発信し、興味をもってもらえても、受け皿となる宿泊施設がない、移動手段がないというのでは、呼び込むことはできません。地域の観光関連事業者のインバウンド・ビジネスへの参入が必須になります。

「外国人の対応の仕方がわからない」という声もあります。マナーなどについては、外国語表記だけでなくイラストできちんと伝えていけば理解を得られますし、慣れの問題もあるようです。

―業界の意識はいかがでしょうか。

JTNOでは、様々な業界に対してインバウンドの経済的メリットと対策の重要性をアピールしています。たとえば、出版社は今まで日本人しかターゲットにしてきませんでしたが、付録つきの雑誌は特にアジア圏からの旅行者に大変な人気で、大量にまとめ買いする方も多いと聞いています。他の業種においても、Webサイトを多言語化するなどのアドバイスをします。広い視野で見ると、観光は様々な業種・業界にわたって裾野の広い産業ですので、いわゆる観光関連業界だけでなく、日本全体でインバウンドを盛り上げていければと思います。

今後の展望の鍵となる東京五輪

 -2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決まりました。世界の日本への関心はますます高まっています。今後の展望についてお聞かせください。

現状では8割以上がアジアからの旅行者ですので、送り出し市場の多様化のため、今後は欧米に対して中長期的にどのようにプロモーションしていくかが課題です。

オリンピック・パラリンピックの際の訪日外国人には、やはり東京だけではなく、地方にも流れていただきたいですね。各地で日本文化も体験してもらえると嬉しいです。

 ビーバー教授の解説”観光立国で加速する地方創生”

ここ数年の訪日外国人数の伸びには目を見張るものがあるぞ。政府も日本経済の発展に訪日外国人の存在が欠かせないと認識しておるようじゃな。

2015年11月には、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(議長・安倍晋三首相)を設置し、外国人観光客のさらなる増加に向けた具体策や、目標人数の引き上げを検討してきたのじゃ。3月30日には、2020年の訪日外国人数を4,000万人に増やす目標を定めたそうじゃ。2014年に掲げた2020年に2,000万人の目標を二倍に引き上げたことになるぞ。
安倍首相は2015年12月に行った講演で「観光立国をどんどん進めることは、確実に地方創生でつながっていくと思います」とのべておる。
また、東日本大震災から5年を迎える2016年3月、2016~20年度の今後5年間を「復興・創生期間」と位置付け、被災地の自立支援に全力を挙げる考えを示したのじゃ。2020年までに東北6県を訪れる外国人宿泊者数を、現在の3倍の年間約150万人に押し上げる考えだということじゃ。
地方都市の魅力をどんどん発信し、世界のニーズと結び付けていくことができれば、2020年に4,000万人という目標も夢ではなさそうだぞ。