第57回
修了生が語る
『トビタテ!留学JAPAN』審査合格のヒケツ

オークランドにあるwaiheki 島にて

返済不要の奨学金で、海外留学できる『トビタテ!留学JAPAN』。「将来はグローバルな仕事がしたい!」「日本と海外を結ぶ実践的な活動がしたい!」と考える高校生・大学生には、うってつけの留学支援制度だ。そこで今回は、同プログラムの第2期生(2015年度)としてニュージーランドに留学した前田尚子さんに、実際に提出した書類をもとに、審査を通過する秘訣について話を聞いた。

自分にぴったりの留学計画を立てられる『トビタテ!留学JAPAN』

ー まずは、このプログラムの概要を教えていただけますか?

前田:『トビタテ!留学JAPAN』は2014年に始まった官民協働の留学支援制度です。2020年までの7年間で、約1万人の高校生・大学生の留学を支援するという計画です。

申請コースは、①大学全国コース、②大学オープンコース、③地域人材コース、④高校生コースに分かれています。

①は(独)日本学生支援機構の第2種奨学金の家計基準を満たす学生、②は家計基準を超える学生が対象で、それぞれに ⑴理系、複合・融合系人材コース、⑵新興国コース、⑶世界トップレベル大学等コース、⑷多様性人材コースが用意されています。③は「海外での実践的な留学」と「国内地域企業などでのインターンシップ」を組み合わせたグローカルリーダー養成プログラムで、各都道府県の地域協議会により募集・審査が行われます。

トビタテ!留学JAPAN公式サイト

トビタテ!留学JAPAN公式サイト

ーなるほど!前田さんは、どのコースだったのですか?

私は、⑷多様性人材コースにエントリーしました。多様性人材コースでは、スポーツ・アート・国際協力など、さまざまな分野で今後の活躍が期待できる人材を募集しているんです。

ー申請は、どのような手順で行うのですか?

前田:まず、在籍大学等の事務局にプログラムに申請したい旨を申し出ます。オンライン申請に必要なキーコードを大学等から受け取り、申請の学内締切日も確認しておきましょう。次に、申請サイトのユーザー名として使用するPCアドレスを準備して、アカウント登録を行います。申請サイトに公開されている留学計画書のフォーマット(excel形式)を参照して、事前に記述内容を準備しておきます。すべて準備できたら、留学計画等の登録・申請をオンラインで行います。

ー 在籍校の成績や語学力は、どのくらい問われるのですか?

『トビタテ!留学JAPAN』の審査で重視されるのは、留学の計画性と人間性です。公式サイトにも、成績や語学力などは一律の基準を設けていないと明記されています。

トビタテ!留学JAPAN申請の流れ

等身大の自分をしっかり見つめて、確実に成長できる計画を立てよう!

ー留学計画は、自分自身で立てるのですね!

前田:そうなんです。アカデミックな留学だけではなく、インターンシップやボランティア、フィールドワークなど、学校以外の場で行う多様な活動も組み込めるのが『トビタテ!留学JAPAN』の特徴です。実社会とつながる実践活動を含めた留学計画(28日間から2年以内)を自由に組み立てられます。

ー前田さんの計画書には、日本発祥の「ソフトテニス」をニュージーランドで広めていきたいという思いが、しっかりと書かれていますね。

前田:『トビタテ!留学JAPAN』では、座学や知識の蓄積よりも、実社会と接点をもつ実践活動が重視されます。私は幼い頃からスポーツが大好きで、大学でも「生涯スポーツ」を専攻していたので、まだニュージーランドで知られていなかった「ソフトテニス」の魅力を伝えたい!と思ったんです。

ー まさに、日本の魅力を海外で紹介する具体的な実践です。 実現可能性については、どのようにアピールしましたか?

前田:色々な体験を通して学んできたことを書き出し、リーダーシップや企画力をアピールしました。具体的には、インターハイ常連の高校でキャプテンを務めた実績(リーダーシップ)、幼児向けのサッカー指導や小学生向けのソフトテニス指導のボランティア経験(企画力)、大学のゼミ活動として「大人の体力測定教室」を開講したエピソードなどを盛り込みました。

ニュージーランド留学中にチャイルドケアに参加した時の写真

学生時代のボランティア経験を活かして、ニュージーランドの子どもたちに運動を教える機会も。

ー すばらしい実行力ですね!ソフトテニスを広めていく計画としては、どんな実践活動を考えたのですか?

前田:ニュージーランドにはスポーツ振興を目的とした公益団体があるんです。日本でいうと市役所のスポーツ推進課のようなところです。私はオークランドの「ハーバースポーツ」という団体に英語でメールを送り、インターンとして働かせてもらえるよう交渉しました。

ー スポーツを広めるノウハウを学ぶのに、ぴったりのインターン先を見つけたのですね。

前田:実際のインターンでは、アジア圏から移民してきた方々を対象に、クリケットやネットボールなど、アジアでは馴染みのないニュージーランドのスポーツを紹介するプロジェクトに携わりました。その中で、移民の方々が地域に馴染めることを目的とした「ウォーキング教室」を企画したところ、全体のマネジメントを任せてもらうこともできました。また、小さな子どもたちに体の動かし方を教える機会もいただきました。

ー 「スポーツを広めたい」という目標を、地域社会の課題と見事にマッチさせて、責任ある仕事を任せてもらえるようになったのですね!

前田:インターンを通じて、移民の方々が抱える問題に気づくことができました。

ー『トビタテ!留学JAPAN』修了後、いったん帰国し大学院の修士を修了された前田さんですが、2018年1月から再びニュージーランドに渡り、インターン先だった「ハーバースポーツ」で働き始めていらっしゃいます。

前田:現在は、アジア圏から移民してきた方々やニューカマー・難民の方々を対象に、運動教室やウォーキング教室を主催しています。スーパーダイバーシティとして注目されているオークランドで、色々な民族や異なるバックグラウンドの方々がスポーツを通して地域社会に馴染めるよう、さらなるノウハウやスキルを身につけたいと考えています。今後は、「スポーツ平和」をテーマに仕事を続けながら、英語もさらに勉強して、博士課程への進学も検討しています。

ウォーキング教室で、地域の公園について参加者に説明する前田さん。

ウォーキング教室で、地域の公園について参加者に説明する前田さん。

ー 「ソフトテニスの普及」という留学計画を出発点に、夢の舞台が大きく広がりましたね!

前田:海外で活動した結果、視野がぐんと広がり、より良い方向性を見出すことができました。

失敗を成功の糧にできる粘り強さをアピール

ーこれから申請したいと考えている学生の中には、アピールできそうな経験がなくて悩んでいる方もいるかもしれません。

前田:強みや経験値は1人1人みんな違います。等身大の自分をしっかり見つめて、留学を通してどう変わりたいのか、そのためにどんな経験をしたいのかを考えていけばよいと思います。

ー前田さんの申請書にも、華々しい実績だけではなく、大学4年次に交換留学プログラムの不合格通知を受けて、どん底まで落ち込んだエピソードが書かれていました。

前田:はい。そこから心機一転、カナダのワーキングホリデーVISAを取得したプロセスを詳しく書きました。また、カナダ滞在中も様々な挫折や失敗をしたのですが、あきらめず行動することで、自分の人生を切り開いていけると学べたので、その点もしっかりと書きました。

ニュージーランド留学中に仲良くなった子供たち

最初は子どもたちの英語が速すぎて聞き取れなかった前田さん。
何度も聞き直し、コミュニケーションを取れるようになった。

「挫折や失敗から何を学べるか」「そこから立ち直り、あきらめずに挑戦できるか」は、留学生活でも必要とされる力ですものね!きっと、その粘り強さが高く評価されたのでしょう。挫折や失敗の体験も、捉え直すことで大きなアピールポイントになりそうですね。

前田:今は海外渡航経験が少ない学生の留学を応援する枠も設けられているそうですので(全体の2割)、国内で経験したことでも全く問題ないと思います。これまでに自分が大きく成長できたエピソードを書き出してみるのも良いですね。

ー このたびは、貴重なお話をありがとうございました!

※『トビタテ!留学JAPAN』派遣留学生の募集は年2回。まずは在籍大学等に次回の申請期限を確認しておこう。

【ビーバー教授のコメント】

いかがじゃったかな?留学計画書は十人十色。自分の経験をじっくり振り返り、「こういう経験をしてきた自分だからこそ、海外で○○○を学びたい・経験したい」と明確に書けるようにしてみてはどうじゃろうか。一つ一つの経験に優劣はない。立派でなくてもいい。どんなささやかな経験であっても、そこに意味や価値を見出していけるかどうかは、君たちの「心」次第じゃよ。

ポイントは、等身大の自分からかけ離れないこと。ぜひ、この機会に深く自分を見つめ直して、君ならではの留学計画書を書いてみてほしい。