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第8回<グローバル教育>新しい形の人材育成「留職」とは?

企業のグローバル人材育成にはさまざまな形態があるが、その一つに「留職」というシステムもある。企業に「留職」プログラムを提供している、NPO法人クロスフィールズの代表、小沼大地さんにお話を伺った。

「やらなければしょうがない」状況だからこそ、思わぬ力が発揮できる

――御社で提供している「留職」プログラムについて教えてください

小沼:「留職」は、企業で働いている人材が新興国のNPOなどへ赴任して、現地の人々とともに社会課題の解決に挑むというプログラムです。現地では、本業で培ったスキルやノウハウを活かした活動を行うため、活動を通して社会貢献ができるだけではなく、参加者のスキルアップにもつながります。

――「留職」というのは?

小沼:私たちの作った造語です。「留学」は海外に留まって学ぶことですが、これに対して海外に留まって働くのが、「留職」。しかし、ただ働くだけではなく、先ほど言ったようにそれによって得るものがあるんですね。例えば、まったく違う文化の中で英語でコミュニケーションをとりながら目的を達成するという経験。これは、日本ではなかなかできません。そして、困難を乗り越えたという自信や、自分が行ったことが、現地の人々の役に立ったという達成感。さらに、新興国の市場開拓やそのためのマーケティングにつながることもあります。

――具体的にはどのようなことをするのですか?

小沼:例えば、ある企業では、ベトナム中部の街で「ソーラークッカー」の普及活動を行っている現地NGO団体に社員を派遣しました。この地域では調理の際に薪を使っていましたが、健康被害や森林伐採の拡大などの問題につながるため、NGO団体ではそれに代わる手段として「ソーラークッカー」の使用を提案していたのです。派遣者のミッションは、NGO団体スタッフとチームを組んで、低コストで生産できる製品の開発を行うこと。そこでまずは、製造現場の視察やユーザーへのヒアリングを行い、新製品の設計に取り組んだのですが、最初は英語でのコミュニケーションや、現地の仕事の進め方にとてもとまどったそうです。また、材料の調達や使える機械、製造スタッフの技術などクリアしなければいけない問題も山積みで、「もう無理だと、何度も思った」と言っていました。でも最終的には、従来よりも低価格、短時間でできる新製品の試作品を作り上げ、ミッションを達成して帰国しましたよ。

――現地でNGO団体のお手伝いをする、といったレベルではなく、参加者が中心となってミッションをやり遂げることが求められているのですね。それはかなりのプレッシャーだったと思いますが、壁に当たった時に、あきらめないでがんばれたのはなぜでしょう?

小沼:自分はスキルやノウハウを持ったプロだという自負や、会社を背負っているという意識はあったと思います。それに、「日本から来てくれた」という現地の人々からの期待に応えたい思いもあるでしょうね。しかしそれ以上に、「やらなければしょうがない」といった、せっぱつまった状況がそうさせたのではないでしょうか。悩んでいても、へこんでいても、誰もどうにもしてくれないのです。解決策が見つからずに「もうイヤだ、逃げ出したい」と思ってフテ寝したところで、翌朝起きてみれば、問題は目の前に、どん、と居座ったまま……まさに、「やるしかない」ですよね(苦笑)。

――日本では、そこまで追い詰められることはなかなかないかもしれませんね。

小沼:そうですね。もちろん日本で働いていても売り上げ目標が厳しかったり、納期がタイトだったりと困難はたくさんあると思います。でも、仕事のやり方が会社によってある程度決まっていたり、上司や先輩が自分の経験をもとにアドバイスをくれたりすることが多いのではないでしょうか。それは業務がスムーズにいくという意味ではいいことではあるのですが、反面、近視眼的な発想に陥ってしまいがちになります。それぞれのスタッフが、自分の業務範囲内で、従来のやり方をうまく踏襲することに一生懸命になってしまうんですね。

「関わる人すべてにメリットがある」が、今後の社会の主流に

――そういう人材ばかりでは、組織も硬直してしまいますね?

小沼:その通りです。このプログラムのもうひとつのねらいは、「やることもやり方も自分でイチから考える」という経験をした人材がカンフル剤となって、企業をも活性化させることです。そのため、プログラムには参加した人材が所属企業に帰った後に学んだことを広めてもらえるようなフォローアップの仕組みも設けてあります。ただ、参加者は「人材も物資も乏しい新興国で、周りを巻き込んで主体的に動き、結果を出す」経験をした人材ですから、帰国後は誰に言われなくても、どんどん周囲の人々に働きかけを行い、影響を与えていきますよ。先ほど例に挙げた企業の参加者は、このプログラムに参加した感想を「ものづくりの原点を感じた」と述べ、以前にも増してイキイキと働いているそうです。それは本人だけでなく、周囲の社員たちも明らかにそう認めるほどだと聞きました。

――このプログラムによる活動が続いていけば、そういった人材が日本にたくさん増えることになりますね。

小沼:そう思います。今参加していただいているのは比較的大きな企業が多いのですが、今後は中小企業や、官公庁にも広く呼びかけていきたいと思っています。実は「留職」は、今、海外でも注目されています。企業に勤める人材が、新興国で一定期間本業のスキルを活かして働くという仕組みは、新興国の社会問題解決に貢献できるだけでなく、企業にとっても、参加者個人にとってもメリットがあるからです。こうした、「関わる人々みんなが得るものがある」という考え方は、今後の社会では主流になってくるのではないかと思います。

――そうした社会を迎える時代に就職をするであろう、現在の中学生・高校生に向けて、何かメッセージをいただけますか?

小沼:私が伝えたいことは2つあります。1つは、自分の中に何か核となるものを持ってほしいということ。2つめは、人と違ったことを恐れないでほしいということです。これからは激動の時代。社会の価値観も人々の考え方もどんどん変化していきます。ちょっとした出来事をきっかけに、多数派と少数派ががらっと入れ替わってしまうこともあるでしょう。「世の中的に何が正しいか」ということがあまり意味を持たなくなった時に、必要になるのが、先に述べた2つです。 核と言っても、そんなにすごいものでなくていいんです。どういう音楽が好き、何に興味もってどんなことを勉強した、本を読んでこんな感想を持った……。それが人と違っていてもまったく問題ありません。「どうしてそう思うの?」「なぜそれが好きなの?」ということから、コミュニケーションは生まれます。そして、相手を理解しようと思うことが、ニーズを探ることに通じるのです。それが仕事になれば、新しい商品やサービスの開発にもつながっていくでしょう。 もちろん、英語を勉強していても、自分の核があると伸びが違いますよ。「自分が自分らしくいる方が勝ち」という時代を楽しむために、ぜひ準備をしておいてください。

Dr.ビーバーの解説” グローバル社会は怖くない”

日本では当たり前にできていたことが、違う環境の中ではなかなかうまくいかない。そんな時は、ものごく無力感を感じてしまうものじゃ。でもその落ち込みを経て、「やるしかない」と追い込まれた時には、自分でも思ってもいない力がでるのかもしれんな。それによって、今までとは違った自信が生まれるんじゃろう。会社や家族といった 周りの環境のバックアップがないところで、壁を乗り越えた「自分自身」への信頼じゃな。

これは長期留学をした留学生もよく言う言葉じゃ。だから、留学をすることで自信をつけておくのも、将来に対するひとつの備えかもしれんな。

もうひとつ、最後のメッセージも大切な言葉じゃ。「これからはグローバルな時代だ」と最近よく言われておるが、それは「英語ができなくちゃ」「国際教養がなくちゃ」というように、どちらかというとプレッシャーをかける意味で使われることが多い。しかし、本当にそうじゃろうか? 自分の意見をしっかりと持ち、他人とコミュニケーションをとりながら、新しいものやサービスを生み出していく。それが 世界規模で活発に行われる時代は、きっと楽しいと思うぞ。怖がらずに、前を向いて進んで欲しいものじゃな。

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