第63回
アメリカ留学で知らなかった自分にたくさん出会えた。

Advertising Principlesのクラスでグループワークのメンバーと

文部科学省が行う留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」(以下「トビタテ!」)。

留学への意気込みを示した留学計画書を提出し、書類選考と面接を経て選ばれた学生(トビタテ生)には返済不要の奨学金が給付される。トビタテ生に選ばれ、日本の大学を1年間休学し、アメリカ留学をしてきた折原樹音(おりはら じゅね)さんに、留学の成果について聞いた。

先輩トビタテ生から合格の秘訣などを情報収集

日本語クラスのアシスタントを買って出た。写真は日本語クラスの学生たち。左端が折原さん

日本語クラスのアシスタントを買って出た。写真は日本語クラスの学生たち。左端が折原さん

―そもそも「トビタテ!」に応募しようと思ったきっかけは?

折原:中学3年の夏休みに、ニュージーランドに短期留学をしたことがあるのですが、英語には自信があったのに全然通じなかったのが悔しくて。それから猛勉強をして、高1の夏休みにイギリスに短期留学したときは、かなりイメージどおりに英語が話せるようになりました。もう少し長くいればもっと上達したかも、と残念に思っていました。高校卒業後、津田塾大学学芸学部英文学科に進学し、英語「を」勉強することに加え、英語「で」勉強したい、今度は1年間の長期留学をしたいという想いが強くなり、留学資金を工面するために、トビタテ!に応募することにしました。

―1年間、休学するのは怖くなかったですか?

折原:両親には反対というか心配されましたね。でも、学内の協定校留学の試験に合格したこともあり、絶対にこの機会を無駄にしたくないと思いました。

―トビタテ生に選ばれるには審査を通過しないといけませんが、どのような作戦を立てましたか?

折原:まず、学内の国際センターに問い合わせ、在学生の中に経験者がいないか探すことから始めました。わずかですが先輩がいて、どんな試験があるのか、面接で何が聞かれるのか、提出書類の書き方などを聞きました。一番力を入れたのは留学計画書ですね。「○○をする予定」と書くよりも「○○をすることが確定している」と書いたほうが説得力があると思い、自分で、希望の留学先の学部学科、コースを調べ、いつからいつまでどのコースで学ぶ、と細かな計画を立てました。また、協定校留学の制度を利用したこともあり、現地の大学から教授が来日したことがあるのです。そのときに、その先生をつかまえて、いろいろ質問をしたり、「留学をする予定なので日本語クラスのアシスタントをさせてください」と約束をとりつけたりしました。

―すごい積極的ですね!強い想いがきっと審査員に伝わったんですね。

無料パンフレットを請求する

 日本の文化を広めるイベントを開催

折原さんが企画した、日本文化を知ってもらうイベントの一つ、「扇子を使ってみる!」の様子。

折原さんが企画した、日本文化を知ってもらうイベントの一つ、「扇子を使ってみる!」の様子。 

―現地ではどんな経験をしましたか?

折原:留学先は、アメリカのミネソタ州立大学モアヘッド校(Minnesota State University Moorhead)。そこで、Advertising majorを専攻し、秋期・春期の約1年間、現地の学生に交じって本場のアメリカの広告を学びました。父が広告関係の仕事をしていて、子どもの頃から、広告やマーケティングに興味があったのです。

アメリカと日本の広告表現の違い、価値観の違い、広告に関する法律の違いなど、授業内容はとても新鮮でしたね。たとえばアメリカの広告は、商品の機能や効能を徹底的にアピールしますが、日本の広告は人気の俳優を起用してイメージで商品を消費者に印象付ける。この違いは人間性にも通じる気がしました。アメリカ人は人の外見や雰囲気よりも、その人が何を考えどんな意見を発信するかで相手のことを判断することが多い。どちらがいい、悪いではなく、とても興味深いと思いました。

 

「浄法寺漆器を使って食べてみる!」の企画メンバーたちと。前列左から2番目が折原さん

「浄法寺漆器を使って食べてみる!」の企画メンバーたちと。前列左から2番目が折原さん

―授業以外にはどんなことをしたのですか?

 

折原:「トビタテ!」のミッションの一つに、「日本のよさや文化を伝える」というものがあります。私は、広告で学んだ知識を生かし、また、地方創生にも興味があったので、自分が生まれた岩手の伝統工芸である漆器を伝えるイベントを開催することにしました。岩手では良質の漆器を生産していますが、あまり知られていなくて残念だと思っていたのです。イベント名は「JAPAN DAY」。うるし=japanと日本=Japanをかけました。日本から漆器のお椀やお箸を持参し、ただ展示するだけでは説得力がないと思い、「現地の学生と和食を作り、故郷岩手の伝統工芸品・浄法寺漆器を使って食べてみる!」というイベントを開催しました。漆器は、熱い汁物を入れても器が熱くならないので手で持つことができます。そのよさは体験しないと伝わらないと思ったのです。学生寮の友だちを中心に30名くらいの人が集まってくれて、とても喜んでくれました。「日本に行きたい」と言ってくれた参加者もいて、やってよかったと思いました。

また、書道を子どもの頃から習っていたので、「書道体験イベント」も開催しました。実際に書道を体験してもらって、自分が書いた書を持ち帰ってもらったのですが、これも好評でした。日本のよさが少しでも伝わっていたら嬉しいですね。

無料パンフレットを請求する

わからないことがあれば、それが得意な人に聞く!

 ―とても充実した留学生活だったようですね。現地で苦労したことはありませんでしたか?

折原:言葉の面では、大学でも積極的に英語の講義に出席して英語に慣れるようにしていたので、授業についていけないことはなかったですね。もともと自己主張が強くおしゃべりなので、友だちもすぐにできました。意識していたのは、上手に人に頼ること。宿題がわからなければ、いつも真面目に授業を聞いているあの人、この分野ならこの人、というように、頼れる人をたくさん見つけておいて、困ったときは躊躇せず頼るようにしていました。その代わりに、私も人に頼ってもらえるよう、授業はすべてに出席する、ノートも完璧に取る、日本人ならではの視点でも発信するなど、クラス内の自分に付加価値をつけることを意識していました。一人で悩んでいるよりも簡単に解決できるし、そのおかげで人脈も広がりました。

ただ、一人暮らしは初めてだったので、その点ではちょっと苦労したかもしれません。

 ―海外の大学は、課題が大変とよく聞きますが、勉強面で苦労したことは?

折原:マーケティングの授業では、ケーススタディとして現地のお店を例に挙げることが多かったのですが、「○丁目の××というお店では~~」と言われても何のことかわからない。その点は困りましたね。休日には積極的に街歩きをして、どこに何のお店があるか、何が売れているか、若い女の子は何をカワイイと思っているのかなど、自分なりにリサーチしていました。1年が終わる頃には、周囲のマップが頭に入っていました。もっといればもっとわかるのに!と後ろ髪を引かれつつ帰国しました。

 やりたいことが多すぎて人生が1回では足りない!!

Advertising Principlesのクラスでグループワークのメンバーと

Advertising Principlesのクラスでグループワークのメンバーと

―すごくがんばったんですね! 復学後のプランはありますか?

折原:実は留学中に、教授から、「推薦状を書いてあげるから、大学院で勉強を続けては?」と言っていただけたんです。積極的に授業に取り組んだことが認めていただけたのかなと、とても嬉しかったですね。日本の大学課程がまだ1年半残っていますが、その後、大学院留学もありかなと思っています。でも、一方で、せっかく勉強したアメリカのマーケティングや広告の知識を日本の実社会で試してみたいので、就職もしたい。地域創生に興味があるのでその分野で起業もしてみたい。やりたいことがいっぱいありすぎて、人生が1回では足りない!と思うくらいです。

―折原さんなら全部できちゃうんじゃないでしょうか! ところで、今回の留学を振り返ってみて、折原さんが留学で得たものってどのようなものだったのでしょうか。

折原:留学を経験して変わった、という人はたくさんいると思うのですが、私は、変わったというより、もともと自分が持っていたものが出てきたというふうに感じています。自分ってこんな力があったんだ、できないと思っていけどできたじゃん! みたいに、知らなかった自分にたくさん出会えました。

住み慣れた日本を離れるって、居心地が悪いし勇気がいること。でも、居心地の悪い場所をいかに自分の場所にしていくかが留学で問われることだと思います。それができたときって自分が成長したときだと思うんです。そこが居心地よくなったらまた次の場所を探す。そんなふうにして成長していけたらと思います。

―最後に、留学する人にアドバイスをお願いします。

学生時代って、学生というだけで、大人も耳を貸してくれるし、好きなことや興味のあることをとことん追求できる貴重な時期。とことん勉強しないともったいないと思います。

これから留学する人は、「たくさんの人(家族、仲間、先生、トビタテ関係者etc)に応援されて留学できる」ということを忘れないで欲しいですね。もちろん私も、周りの人たちにすごく感謝しています!

―ありがとうございました!

ビーバー教授の解説

「トビタテ!留学JAPAN」は、勉強だけでなく、インターンシップやボランティア活動、フィールドワークなど学校に行く以外の活動も対象にした返済不要の奨学金。

お金の支援だけでなく、支援企業との交流会や各界で活躍するリーダーから直接指導を受ける機会など、人脈作りのチャンスも提供しているのが他にはない特徴じゃ。留学でこれをしたい!という強い想いがあるなら、ぜひ参加してみてはどうじゃろう。

トビタテ!留学JAPAN公式サイト:https://www.tobitate.mext.go.jp

■トビタテ!留学JAPAN関連記事を見る(Dr.ビーバーの留学道場内)

無料パンフレットを請求する