第44回<ホスピタリティ留学>
アメリカの大学でホスピタリティを学ぶ!その時に必要な英語力、そして授業内容とは!?

サンディエゴ州立大学に留学した吉田さん

吉田純平さん(右)

「いつか、チャンスがあれば、海外の大学で学んでみたい!」と、なんとなくお思いの方も多いのではないだろうか。そう思った時に、多くの留学希望者が気になるのが「英語力」や「海外の大学では、いったいどのような事が学べるのか?(日本とは何が違うのか?)」のような具体的な事。そこで今回は、現在、横浜国立大学4年生で、サンディエゴ州立大学のホテルオペレーションコースにて、交換留学生として「ホスピタリティ」を学んでいた吉田純平さんにその2点を中心に留学時のお話を伺った。

「ホテルマンになりたい!」。まずは、交換留学合格のためにIELTSのスコアを取得!

サンディエゴ留学中の一コマ

留学自体に興味を持ち始めたきっかけは家族でした。

母が留学をしていた事もあり、子どもの時から「なんとなく、留学というおもしろいものがある。」という事が頭の中にありまして。ただ、「留学先で何をするか?」を決めたのは大学に入ってからでした。NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』を見て、「ホテルマンになりたい!」と思ったんです。当時、大学でリーダーシップやファシリテーションスキルを学んでいた時にこの番組に出会ったので、余計に心引かれてしまいました。それと同時に「日本の従業員満足度の低さ」「離職率の高さ」を知ってすごく驚き、「解決策を見つけたい!」と思い始めました。

そんな時に、所属している大学の提携校(交換留学先)であるサンディエゴ州立大学に、ホスピタリティについての専門コースがある事を知ったんです。

アメリカは”従業員満足度”が高い事で有名と聞いていましたので、「ここに留学してホスピタリティを学びたい!」と思い、交換留学の制度に応募する事にしました。また、現地での生活費などをまかなうために、トビタテ留学JAPANの奨学金も活用しました。

―交換留学の審査に合格するには英語力が必要だと思うのですが、TOEFLを受験されたのですか?

いえ、私はTOEFLではなく、IELTSを利用しました。

―交換留学と言うと、TOEFLを利用する方が多いと聞くのですが、なぜIELTSを?

理由は色々とあるのですが、実はまだ留学先を決めていない時に「なんとなくヨーロッパに留学したいなぁ。」と思っていまして。IELTSはアメリカの大学ですと受け付けてくれない所が多いのですが、ヨーロッパの大学では使える所が多いんですよ。あとは、TOEFLはパソコンに向かってスピーキングをするのですが、個人的にそれがあまり好きではなくて。それに対して、IELTSのスピーキングは対面形式なんです。たまたま、サンディエゴ州立大学もIELTSを使う事ができたので、IELTSで応募する事にしました。

―交換留学では、IELTSのスコアは何点必要でしたか?また、スコア取得のために行った対策があれば教えてください。

サンディエゴ州立大学の場合、必要なスコアは6.5点(9満点)でした。対策としては、一応「ブリティッシュカウンシル(国際文化交流機関)」が開催している対策講座に参加はしたのですが、個人的にはスピーキングで大事なのは「外国人と話し慣れる事」だと思います。ですので、例えば、大学に来ている外国人留学生とフランクに話すという事の方が大事かもしれません。

ただ、このような対策講座に参加すると、試験に関する情報は集まりやすいので、そういう意味ではよかったかもしれないとは思います。

クラスメイトたちとマリンスポーツの授業の様子

クラスメイトたちとマリンスポーツの授業の様子

―なるほど。ちなみに、いざ留学に行くとなると、現地にお金をどうやって持って行くのかが気になるのですが、いかがでしたか?

私の場合は、最初は生活に必要なお金だけ現金で持っていきました。その後は、向こうで銀行口座を作って、日本から親経由で国際送金をしてもらっていました。

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アメリカの大学の授業で必要な英語力とは?

―次は、留学中の事について聞かせてください。大学での授業はいかがでしたか?

やはり、授業はとても苦労してしまいました。精神的につらかったです。

―精神的につらかったというと?

留学中にお気に入りだったカフェ

お気に入りのカフェ

授業についていけず、成績(単位)が全然取れなくて。。というのも、私のコースは結構珍しいんですけど、レポートがほぼなくて、授業のディスカッションとプレゼンで評価が決まってしまうものだったんです。つまり、授業に積極的に参加をしないと単位は取れないシステムでした。その上、ホスピタリティを専門に学ぶ留学生は珍しいらしく、クラスメイトでネイティブでないのは私だけという状況でして。

―やはりIETLSで高得点を取っていても、ネイティブだけの中に入ると厳しかったですか?

英語も苦労したのですが、一概に原因は英語力だけではありませんでした。というのも、前期はディスカッションと言っても扱うテーマが「コミュニケーションはどうやって取るか?」のような簡単なものでしたので、授業にはついていく事ができました。

また、前期は中国人のようなネイティブではない生徒もいましたし、環境的には大丈夫だったのですが、問題は後期でした。

―後期からはどのような変化が?

扱うテーマのレベルが上がりました。例えば、「お客様の物が盗まれ、ホテルのフロントに来ました。どういう対応をすべきですか?」や「トラブル対応時にはどういう姿勢でいるべきか?」など、だんだん専門的な知識が必要な上級レベルのテーマになっていきまして。あと、クラスメイト達は、ホスピタリティについて1年生から学んでいる人で日本だと3,4年生に該当する人たちばかりだったんです。それに対し、私は日本だと経済学部の学生ですので、クラスメイトたちとは知識差は歴然でした。

また、みんなは現場でインターンシップをしているのですが、私はビザの関係などでできなかったので、実践的な話にも全くついていけなくて。。専門用語が飛び交うハイスピードな議論についていけなく、「知識が足りない」「英語も厳しい」だから「気後れしてしまう」という負のスパイラルにはまってしまいました。

―それだと、まるで1年生が3年生の授業に編入しているみたいですね。。そのような状況をどのように打開したのですか?

きっかけは教授の一言でした。

留学中の恩師と向こうの大学だと”オフィスアワー”と言って教授と話ができる時間があるんです。それを利用して「もうやばいです。できません。」と相談しに行きました。その時に教授から「君が(授業が)わからないというのはわかる。ただ、わからないなら、わからないって言えばいいじゃん。」というアドバイスをもらい、自分の中ですごくハッとさせられました。

大事なのは「わからないから、ずっと黙っている」ではなくて「わからないから、教えて!」という事だと気づいたんです。これがきっかけで、次の授業からは状況が変わって行きました。

―「その手があったか!」という感じですね。ただ、ディスカッションの時に「わからない」と伝えると具体的にどのように話が進むのですか?

次の授業でも、案の定、わからなくなってしまったので、ボディランゲージなどをまじえて、「今何の話をしているの?」と伝えました。そうすると、ホスピタリティを学んでいる学生だけあって、みんな「今、こういう話をしていて、こんな展開だよ。」という感じで親切に教えてくれるんです。こういう形でも議論には入っていけたので、これがきっかけで徐々に状況は好転していき、無事に単位を取る事ができました。

―だまっているのではなく「伝える」事が大事なのですね。ちなみに、専門的な事を学ぶ上で最低限の英語力は必要だと思うのですが、どこをゴールに英語学習を行えばよいと思いますか?

最低限、必要な英語レベルは「一般的なコミュニケーションができるレベル」だと思います。私の場合は、交換留学という形でしたのでIELTS用の学習もしましたけど、ただ単に「点数を取るための勉強の仕方だと、すごく苦労してしまう」と留学中は肌で感じました。

なので、日本でも「外国人と接する機会」を持っておいたり、「短期の語学留学で集中的に英語に慣れる時間を作る」とかでもいいですし、とにかく、相手が何を言っているかわかったり、簡単な議論であれば入っていけるなど「英語でコミュニケーションが普通に取れる事」が非常に大切だと思います。

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日本は「察する」、アメリカは「話す」。吉田さんが感じた日米ホスピタリティの違い。

ホテルでのインタビュー

ホテルでのインタビュー

―日米のホスピタリティの違いについて感じた事を教えてください。

日本で専門的な事を学んだわけではないので、確実とは言えないんですけど、私が感じた一番大きな違いは「コミュニケーションの違い」でした。

―「コミュニケーションの違い」というと具体的にはどのようなものでしたか?

日本ですと、ホテルやレストランではお客さんと従業員の(心理的な)距離が少し遠いと感じていて、遠くからお客さんの様子を見て「(NEEDS)を察する」と思うんですよ。それに対して、アメリカはとにかく「話す」という事を大切にしているように感じました。「とにかく話をして、お客さんの要望を知る」というイメージです。

―なるほど。授業で学ぶ事に日米の違いはありましたか?

こちらも日本の学部で観光学(ホスピタリティという科目に近い)などを学んだ事はないので確かではないのですが、日本の場合は観光の歴史とか理論のような座学の授業スタイルが多いように感じます。逆にアメリカの授業だと、ディスカッションや実践的なシュミレーションがほとんどでした。教えてくれる先生はホテルやレストランのマネージャーだったりするので現場の研修に近いものでしたし。

―なるほど、インターンもしている上に、そこまで実践的な事が学べれば即戦力として現場に入れそうですよね。

留学前は、日本の従業員満足度について問題意識を感じていたと思うのですが、その点についてはいかがでしたか?

やはり、その点に関しても「話す」という事を大切にしていたように思います。私はインターンシップができなかったので、代わりにレストランやホテルのオペレーティングマネージャーにインタビューをさせていただいたのですが、その時にある大きなホテルのマネージャーから聞いた話でそう感じました。

―どのようなお話を?

そのマネージャーは、現在抱えている課題が「従業員とのコミュニケーション」だと話してくださいました。アメリカ人は普段から頻繁に話しているイメージでしたので、この課題を抱えている事自体にも驚いたのですが、解決策としてそのマネージャーがあげられていたのが「(本音を話してもらうために)自分のデスクにいないで、従業員に自分から積極的にコミュニケーションを取りに行く」という事だったんです。

とにかく、「自分のデスクにいないで、従業員と細かいコミュニケーションを重ねたり、会う回数を増やす事により、従業員との距離を縮めて、彼らの満足度を上げていくのが大切」だと教えてくださいました。

―お客さんだけでなく、従業員とも「話す」を大切にしているのですね。

はい、そう思います。というのも、アメリカでは「従業員満足度を上げる事で、顧客満足度が上がる」という考え方が浸透しているようなんです。つまり、従業員満足のアップが顧客満足のアップにつながるという事です。

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帰国後の変化!「伝える」事で、人生が変わる!

―帰国後の現在はどのような活動をされていますか?

留学を通して、アメリカのホスピタリティモデルを学んできたので、今

帰国後のトビタテ留学JAPAN成果報告会

帰国後のトビタテ留学JAPAN成果報告会

は日本の同業他社の現場を見るため、イベント企画会社でインターンをしています。また、来春からは社会人になりますので、ホテル事業を手がける企業に就職予定です。

―日本でも、実践の場でどんどん経験をつまれているのですね!留学前と後で吉田さん自身の変化は感じますか?

一つ大きなものとして、自分の「発信力」が強くなったように感じています。アメリカでの経験を通して「自分は今こう思っているよ。」ときちんと言葉にして伝える大切さを学びました。

留学前だと「多分わかってくれるだろうなぁ。」という事があると黙っていたのですが、アメリカでは、そのような事でも「きちんと伝える」という事が大切だと学びました。

今のインターンシップ先も「(就職する前に)自分は今、現場経験をもっと積みたい」と色んな人に伝えた結果、紹介していただけたインターン先ですし。あと、言葉にする事で「本当は自分は何がしたいのだろうか?」なども頭の中で整理できるので、これは就活における自己分析でも役立ちました。

―留学を通して吉田さんの中で、コミュニケーションの在り方が変わったのですね!最後に、今後の夢を教えてください!

今は「日本のホスピタリティ業界に貢献していきたい!」とすごく思っています。アメリカで学んだ「コミュニケーションの大切さ」を日本の現場で役立て、顧客だけでなく、従業員も共に満足感や達成感を共有できるホスピタリティモデルの確立を目指していきたいです!

ビーバーの解説“英語学習の目的(目標)とは!?”

今回の吉田さんのストーリー。ポイントは「英語学習の目的(目標)」じゃ。

「英語を勉強する」という時にゴールを設定している人はどれくらいおるのじゃろうか?多くの人は、TOEICのような英語テストのスコア獲得がゴールになってしまわないじゃろうか?

もちろん、英語スコアの獲得も大事な事じゃ。現に、今回登場してくれた吉田さんもIELTSのスコアがないと交換留学はできてない。しかし、本来、英語に限らず言葉とは「誰かと会話をするためにあるもの」、そして留学においては「英語を使って自分の目的を達成する事」がより重要になる。英語を使って自分の目的を達成する事、それを成し遂げるためには、英語でのコミュニケーション能力は欠かせない力じゃ!

大切なのは、吉田さんの話にあった通り、日本でも積極的に外国人とコミュニケーションを取る事。また、「なかなか集中して英語を使う時間が取れない!」という方は、英語圏での短期留学や、今話題のフィリピン留学も一つの手じゃ。

「習うより慣れろ」。言葉は使ってこそ伸びるものじゃぞ!

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