国際バカロレア認定校を増やす理由 ~インタビュー~ | ビーバー教授の留学道場

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国際バカロレア認定校を増やす理由
~インタビュー~

文科省では、今後5年で国際バカロレア認定校を200校に増やす計画を発表した。バカロレア認定校が増えることはこれからの日本の教育にとってどのような影響があるのか、またそのために解決すべき問題などを文部科学省大臣官房国際課の佐々木邦彦さんに伺った。

国際バカロレアの教育がめざすものは、今後、多くの日本人に必要となる

――文科省では、国際バカロレア(以下IB)認定校を今後5年間で200校に増やすという計画を掲げられましたが、その理由をお教えいただけますか。

佐々木さん:もともと日本では、早くからIB資格を大学入学資格に認定するなど、国際バカロレア機構(IBO)が提唱する教育への一定の理解がありました。さらに、現在のグローバル人材育成や学習指導要領がめざすものが、バカロレア教育の理念と合致する部分が多いこともあり、国際バカロレアの教育がグローバル人材育成のツールの1つとして期待が高まりつつあるという背景があります。

――最近になって目を向けたというわけではなく、理念としては共感できるものがあったというわけですね。今までそれがなかなか広まらなかったのはなぜでしょうか?

佐々木さん:一番の問題としては教員確保が困難だったことが挙げられます。英語での授業ができる語学力に加えて、IBの教育理念を理解した上で日本での教員資格を持っている人材となると、かなり少なくなってしまいますから。しかし、一部教科について日本語での授業も可能ということになれば、今までよりも教員の確保はしやすくなると思います。

――なるほど。それにしても、公立校、しかも都市部ではない学校での採用はなかなか難しいのではないでしょうか? 現在、インターナショナルスクールを除く5校のIB認定校はいずれも私立高校です。

佐々木さん:たしかに学校単位で見れば、公立校は私立校ほど人材確保の自由度は高くないかもしれません。ただし都道府県レベルでとなると、また話は変わってくるのではないでしょうか。都道府県で1つあるいは2つの拠点に、IBのカリキュラムの指導ができる教員を集中的に配置させるということであれば、公立校でも、また大都市に限らず地方でもIB認定校を設置することは可能性があると考えています。まずは、導入を希望する各地域で、そのような指導ができるポテンシャルをもった人材をしっかり調査するところから始める必要があります。

私たちはIB教育を、一部の学力トップ校のための施策にするつもりはありません。というのも、IB教育で培うことができるコミュニケーション能力や主体性、協調性、チャレンジ精神などは、今後、多くの日本人にとって必要になると想定されるからです。経済や社会の国際化が進み、海外支社を持つ日本企業や、日本に働きに来る外国人労働者の数が増えることを考えると、たとえどんな職業に就くにしても海外と全く無縁ではいられないでしょう。これからの日本社会は、トップリーダーのみならず、幅広い人々が外国人とコミュニケーションをとり、仕事を進めていく力が必要とされるということです。そうした状況に対応できる教育を、全国どこに住んでいても受けられるようにすることが、理想だと思います。

海外留学や海外就職というキャリアパスがもっと身近に

――どこの都道府県でも、国公私立合わせて、選択肢のひとつになるようにということですね。

佐々木さん:そうですね。コミュニケーション力や協調性、チャレンジ精神というのは単純に勉強して身に付けられるものではありません。いろいろな状況の中で身をもって体得していくしかない。その手段の1つが海外留学ですが、現在では語学力や経済力など越えなくてはいけない壁が少し高いように感じています。国内にいながらにして、そういう体験をする機会を提供することも必要なのではないか、と考えているのです。

現在では高校卒業後は日本の大学へ進学、日本企業へ就職というルートが一般的ですが、IB校の増加によって、海外大学への進学が身近な存在になれば、それ以外のキャリアパスを選ぶ生徒も増えると思われます。十数年後には日本の大学へ行くか海外の大学へ行くか、日本で就職するか海外で就職するかということを同レベルで考える光景が当たり前になるかもしれませんね。

――そうなった場合、日本の大学も国内外からの学生を確保するためには、より魅力ある体制づくりに力をいれざるをえませんね。つまり、IB校が増えることにより、海外進学を希望する生徒はもちろん、日本で進学をする生徒にもメリットがあるということですね。

佐々木さん:まさにその通りです。最近の教育をめぐる議論の傾向として、教育の各段階での連携を意識した発言がとても多くなっていることが挙げられます。教育改革には、初等中等教育での質の向上と大学入試、大学での教育レベルの向上そして企業の評価とが連動することが大切だという認識が強く持たれるようになってきたということです。この施策においても、単に高校で受けられる教育の選択肢を増やすだけでなく、大学進学、就職までを見据えた環境整備が必要だと思っています。現状ではまだIB校が少数だということもあり、現在の日本の受験制度ではIB校からの日本の大学進学は必ずしも有利だとは言えない部分もありますが、今後、各大学や産業界と協力しながら、問題を解決していきたいと考えています。

Dr.ビーバーの解説 " よりよく生きるために必要な力を養う教育とは?"

IB教育の大きな特徴は、課題解決能力の習得を目的としていることじゃ。これは新学習指導要領がめざしている"生きる力"とも共通する。もう少しわかりやすく言えば、学校教育において単に知識量を増やすだけではなく、知識を得るスキルや運用する能力を身に付けさせようということじゃな。そのスキルがあれば、大学入学後も、そして社会へ出てからも学び続けることができる。

新しい情報や技術がどんどん生まれている現代においては、そうして自分で自分をバージョンアップさせ続けることが、よりよい生活を送るためのひとつの手段なのじゃな。

海外へ出る、出ないにかかわらず、こうした教育を受ける選択ができるようになることは、日本の将来を担う子どもたちにとって、とても有意義なことじゃ。


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